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お嬢様と執事の性教育♡
初めてのキスにどハマりしちゃって、所構わずムラムラしてしまい、初えっちを執事に捧げちゃう話♡


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桜宮 花蓮:大学3年生。桜宮財閥の一人娘。蝶よ花よと育てられてきたため、大学では知らない世界がたくさんあって楽しいと思っている。気が強いところもあるが、根は素直な性格。
遠山 大智:小さい頃からお嬢様に仕えてきた執事。冷静沈着で優秀な人間である。お嬢様の父親からは絶大な信頼を得ている。



お嬢様と執事の性教育♡
初めてのキスにどハマりしちゃって、所構わずムラムラしてしまい、初えっちを執事に捧げちゃう話♡



「――ということがあったのよ。ありえないでしょう……!!」
「……左様でございますか」

 普段から就寝前に必ず飲んでいるハーブティーのティーカップを、桜宮花蓮は荒々しくテーブルに置いた。半分ほど残ったハーブティーの水面が微かに揺れる。艶やかな黒髪を巻いた縦カールの髪型、就寝前とは思えないほど華やかな寝間着、そして一人で寝るには大きすぎるキングサイズのベッド――花蓮は、世界有数の財閥である桜宮家の一人娘であり、いわゆるお嬢様であった。

 傍らではお嬢様付きの執事である遠山大智が、表情一つ変えず、花蓮の話へ相槌を打っている。ワックスで癖一つなく整えられた黒髪に銀縁の眼鏡、決して目立つような雰囲気ではないが、一人娘の世話を任されているだけあって、かなり優秀な人間であった。

「経験がないことがそんなに悪いのかしら……!?」

 花蓮は盛大に眉を吊り上げた。
 今思い出しても腹が立つ。
 桜宮さんは絶対に経験がないよね、と最初から決めつけたような言い方で大学の友人たちは笑っていた。わたしにだって、経験の一つや二つくらいあるかもしれないでしょうに。実際は彼らの言う通り、性に関する経験なんて全くないのだけれど。とにかくその確信したような態度が気に入らなかったのだ。

「お嬢様は桜宮財閥の一人娘でありますゆえ、慎重になることは悪いことではございませんよ」
「それは、そうだけど……」

 やれやれとばかりに遠山が首を横へ振っていた。
 執事の言っていることは概ね正しい。
 むしろ一人娘が性に奔放であった場合、あの娘を溺愛している父親は卒倒してしまい、大学もすぐさま辞めさせられるだろう。
 そんなことは分かっているのだけれど。割り切れない部分がどうしてもあるのだ。

「さあ、そろそろ就寝のお時間でございますよ」

 可愛らしいお嬢様の悩み話を聞いても、遠山はこの態度である。興味がないとばかりに飲み終えたティーカップを回収していってしまう。
 花蓮がこんなにも悩んでいるというのに。
 どうしてこの執事はどこ吹く風のような態度で聞き流すのか。すました表情の執事が段々と気に入らなくなってくる。
 結局のところ八つ当たりに過ぎず、こういう所が子どもであるのだけれど、まだ本人は気付かない。

「……遠山」
「はい、どうされましたか」
「遠山はお父様に雇われているくらいなのだから、どうせ経験くらいあるのでしょう」
「どうせ、という言葉が引っ掛かりますが……まあ、それなりにはございますね」

 こんな真面目でつまらない男でさえ、経験があるというのに。なんだか惨めな気分になってくる。
 ベッドへ移動するように促す遠山の手を跳ねのけ、花蓮は意を決したように立ち上がった。

「――決めたわ。遠山、あなたがわたしに教えなさい」
「はい?」
「だから、経験があるのでしょう? だったら、わたしに教えることくらい簡単なはずだわ」

 遠山の表情が困惑したように歪み、花蓮はおや、と不思議に思った。
 普段から表情を変えない男の弱点は、ここにあったのかと。
 そうなってくると、ますます遠山にお願いしたくなってくる。花蓮は駄目押しとばかりに「給金を上げるようお父様にお願いするわ」と一言付け加えた。

「はあ……まあ、構いませんが。どの程度、お教えすればよいのですか?」
「どの程度って……全部よ、全部!」
「…………承知いたしました。それがお嬢様の命令とあらば」

 遠山が胸元へ指を揃えた手を添え、麗しく頭を下げる。
 これで友人に馬鹿にされるようなこともなくなるし、遠山の弱点も見られるし、花蓮にとっては一石二鳥であった。
 さて、何から教えてもらおうかとそわそわした気持ちで遠山の方を見れば、そっと手袋をした手を華奢な顎へ添えられ、執事の顔が近づいてくる。

「――……っ」

 一瞬の出来事であった。
 遠山の薄い唇が花蓮の唇に優しく触れると、すぐにそれは離れていく。
 数秒後経って、やっと、花蓮はキスされたのだと理解した。初めての口づけはあまりにも呆気なく、味わう暇もないなんて。
 それでも遠山とキスをしたという事実が、花蓮の身体をひどく熱くする。

「――これで満足でしょうか?」
「え…ええと……」

 くすりと楽しそうに微笑まれ思わず唇を尖らせるが、遠山の表情は優しいままであった。きっと今、林檎のように真っ赤な表情になってしまっているのだろう。

「さあ、お嬢様。今度こそ就寝のお時間ですよ」

 流れるような仕草でベッドへ案内されて、部屋の電気を消されてしまい、今夜はもう寝るしかない。
 ベッドの中でまた子ども扱いされたのだと気づき、花蓮はふて寝することにした。

 次の日。
 就寝時間になると昨日の出来事がなかったように、遠山が就寝を進めてきたので教えてもらう話を蒸し返す。

「遠山、昨日の続きを忘れているわ」
「……失礼いたしました。では、私の方へ顔を向けて、目を閉じて頂いても?」
「分かったわよ」

 もう初めてではないし、大丈夫だろう。
 花蓮は椅子に座ったまま遠山の方へ顔を向けると、ゆっくり両目を閉じた。長い黒髪をさらっと耳に掛けられ、ぴくんと身体が揺れる。宝物に触れるように頬へ片手を添えられた後、遠山の唇が触れた。

「ふ……っ」

 ちゅ……とリップ音が響き、遠山の唇が離れていく気配がする。もう終わりかと目を開けば、至近距離で遠山と目が合った。

「あ…遠山、っ……」
「今日は、もう何回かしてみましょうか」
「ン……っ」

 角度を変えてもう一度唇が触れる。軽い戯れのようなキスであるのは、花蓮を子ども扱いしているのか、それとも。
 何度か唇を触れ合わせれていれば、徐々に花蓮もキスに慣れていく。そっと薄目を開けて、遠山の様子を見るくらいには余裕ができた。この執事はよく見るとまつげが長く、眼鏡で隠れてはいるが恐らく整った顔立ちをしているのだろう。

「ん、ねえ遠山……」
「……何でしょう?」
「キスって何の味もしないのね、本に書いてあったことと違うわ」
「まあこのような一瞬の触れ合いでは、味を感じるほどでもないのでしょう」
「んっ」

 どうでもいいとばかりに、遠山が花蓮の唇を再び奪った。好きな男との触れ合いでもないのに、心臓の鼓動が勝手に速くなる。短い口づけをしばらく続けられた後、遠山が花蓮の頭を撫でた。

「そろそろ本日は終了いたしましょう」
「……そ、そうね」

 耳もとに執事の唇が近づけられると、「おやすみなさい、お嬢様」と囁かれ、何故だか無性にくすぐったい気持ちになった。

 また次の日。

「ん、ふ、ぅ……っ……」
「……お嬢様、鼻で息をしてくださいね」

 一回の口付けが長くなってきた。一度唇同士を触れ合わせると、なかなか遠山の唇が離れていかない。酸素が足りなくて息が苦しくなってくる。キスの間は鼻で息をするなんて、知らなかった。後頭部に添えられた遠山の手が、キスの合間にさらさらと髪を撫でていることに、ドキドキする。酸素が不足しているせいか、頭がぼうっとしてきた。

「は……っ、ぁ……う、っ……んっ……」
「お嬢様、大丈夫でしょうか?」
「ん……? うん……」

 何だか瞼が重くなってきていて、とろんと落ちてくる。
 キスをしているとこうなるもの、なのだろうか。
 いつの間にか遠山の執事服をぎゅっと握ってしまっていた。皺が付いてしまうなと思いつつも、花蓮はその手を離せない。遠山も咎めることはしなかった。

「……お嬢様」
「んう……?」
「今日はもう少し先へ進みましょうか」
「さ、き……?」
「ええ。お嬢様、口を開けて頂けますでしょうか。――お上手です」

 頭がぽわぽわとしてしまって何も考えられない。執事に言われるがまま口をちょこんと開けば、遠山の唇が重ねられる。
 そして、ぬるり……とぬめった何かが花蓮の口内に入り込んだ。

「んっ!?」

 突然のことに驚き、花蓮は思わず目の前の男の胸を押しのける。男の身体を突き飛ばすような力は花蓮になかったが、抵抗したことは伝わったようで唇が離された。

「な、何するのよ……!」
「……先へ進むようにお伝えしましたが、失礼いたしました。お嬢様にはまだ早かったようですね」
「は……」

 この執事は長年花蓮に仕えているだけあって、花蓮の扱いをよく分かっている。
 挑発すれば花蓮がその話へ簡単に乗ってしまうことなんて、読まれているのだ。最近は花蓮もそのことを理解し始めてはいるものの、結局口車に乗ってしまう。

「そんなことないわよ……! 遠山、さっさと続きをしなさい」
「お嬢様の命とあれば、喜んで」

 微かに遠山の口角が上がり、花蓮は若干後悔するものの、時すでに遅しだ。ぬちゅり……と遠山の舌が花蓮の口内へ侵入する。

「んむ……っ!」

 執事の舌は決して急ぐことなく、花蓮の口内をまさぐっていく。歯列をゆっくりとなぞりあげ、上の歯を堪能すると下の歯へ移動する。
 どうしてだろうか、遠山の舌が触れると背筋がぞくぞくするような気がした。
 座ったままの花蓮とのキスを膝を曲げた遠山がリードする。

「ん、あっ……んふ、う……んんっ」
「お嬢様、ん、キスの味はいかがでしょう」
「あ、じ……ンっ、んんう、っ……わかん、な……っ」

 そういえば最初の方にキスの味の話をしたような。
 やっぱり味なんてしないじゃないか。舌を送り込まれているというのに、無味無臭である。そもそもそんなことを考えている余裕なんてなかった。

「……お嬢様。そろそろお嬢様も舌を動かしてみてください。私の舌へ絡めるように」
「んんんう……っ? んっ、ふう、っ……あむっ……」

 作法も何も知らないまま、花蓮は自分の口内にいる遠山の舌へ、自らの舌をくっつけてみた。ぬるぬるとしていて気持ちよく、くちゅくちゅと舌先を動かしていく。
 覚えたての快楽は酷く甘くて、花蓮はすぐに夢中になる。

「あん……♡ ん……♡♡ ふあ、んっ、んん……♡ んちゅ、ちゅむ……♡♡」
「そうです。今度は私の口へ舌を入れてみましょう」
「あ……遠山、の……んんう♡♡」

 思考が全然回らない。快楽で脳が支配されているような感覚なのに、ひどく心地が良い。はぁ、はぁ、と荒い息を吐きながら、そっと遠山の口内へ舌を入れた。
 舌先同士が触れ合った瞬間、甘い痺れが全身を巡ってきて、ビクンと腰が跳ねてしまう。

「ひあ……っ♡♡ え、あ……?♡♡ あ……っ♡♡」
「気持ちよかったですか、お嬢様。腰が浮いていらっしゃいましたが……」
「あぇ、気持ち、いい……?♡」
「……ええ。もしもお嬢様が私とのキスをもっとしたいと望むのであれば――それは、気持ちいいということなのですよ」
「っ……♡」

 花蓮は遠山の吐息を唇に感じながら、きゅむと唇を噛んだ。
 遠山とのキスを止めたくない、もっとしたいと感じてしまっていたからである。
 執事に教えられているこのキスが、気持ちいいのだ。

「お嬢様、いかがですか?」
「…………それ、は……」
「素直になって頂いた方がよろしいかと。気持ちよくないのであれば、すぐにでも止める必要がございますから」
「……ぁ…………遠山、っ……♡」
「はい」
「…………気持ち、いいから……もっとしなさい……♡♡」
「勿論です、お嬢様。では、舌を出して頂きましょうか」
「……っ♡♡」

 震える舌を小さく外へ突き出せば、遠山の唇が近づいてきて、ぱくりとその舌が口内へ含まれた。温かい口内で、舌を優しく歯で挟まれると、ぢゅるるっと吸い上げられてしまい――。

「んっ!?♡♡♡ んんんっ、ん〜〜〜〜ッ♡♡ ぷあ、っ……ぇ、あ……♡♡」
「気持ちいい時は、気持ちいいと口に出してくださいね。淑女のマナーですよ」
「ぁ、っ、きもち、い…い……♡♡ んっ、きもち、っ……♡♡ あ、もっと……吸って、遠山……っ♡♡」
「承知いたしました」
「〜〜〜〜っ゛!!♡♡」

 ぢゅーっと水音を立てられながら、舌先を吸引される。じくじくと舌先が痺れて、頭の芯から蕩けていく。急な刺激に目を見開けば、潤んだ瞳から涙が一筋零れ落ちた。
 舌を吸われるのが、こんなにも気持ちいいなんて。
 腰が重くなり、じくじくとお腹の奥が疼く。

「ふあっ……♡♡ んあっ、あっ、あっ、あ……♡♡ あっ……舌が、痺れ…て……っ♡♡ っうう〜〜♡♡」
「ん、お嬢様……そろそろ終了いたしましょう」
「あ…………♡♡」

 不意に快楽の熱が離れていってしまい、物足りないような声が思わず口から漏れてしまう。

「遠山、どうし、て……わたしは、まだ……♡♡」
「お嬢様のお気持ちも分かりますが、夜更かしはよくありませんから。続きは明日にでも」
「………………分かったわよ」

 諭すような遠山の口調に、花蓮は続きを諦める。きっとこれ以上を今望んでも、遠山は叶えてくれない。長い付き合いだからこそ、分かることもあるのだ。花蓮が仕方なく頷けば、いい子ですねとばかりにおでこへキスをされた。

「っ……♡」
「さあ、おやすみなさい、お嬢様。良い夢を」

 こんなにも未知の快感を知ってしまい、ドキドキする経験をした今夜は、とても眠れそうにない。花蓮はベッドの中で目を閉じたまま、暫く眠れなかった。

 初めての快楽は、初々しい花蓮を見事に虜にしていく。
 一度知ってしまえばもう戻ることなんて到底できず、花蓮は所かまわず遠山に口づけを求めるようになってしまった。

「お嬢様、屋敷へ到着いたしました」
「……ありがとう」

 送迎車が車庫に停められたところで、花蓮は後部座席から運転席の遠山の肩を軽く叩く。振り返った遠山の唇にキスをすれば、整った顔の眉が小さくひそめられた。

「お嬢様、このような場所でお戯れは……」
「いいじゃない、車内だからこそよ。誰も見ていないのだから」
「それはそうかもしれませんが……」
「御託はいいから早く続きをしなさい、遠山。命令よ」
「……この後の予定もございますから、少しだけにさせて頂きます」
「んっ♡♡♡」

 遠山の唇が花蓮の唇をなぞった。嬉しそうな花蓮の嬌声とともに、執事の両肩に手を添える。ちゅ、ちゅむと軽いお遊びのようなキスをいくらか続けられた後、遠慮がちに遠山の舌が花蓮の口内に侵入した。

「あ……っ♡♡ んんっ♡♡」

 待ち望んだ遠山の舌に、花蓮の目尻がとろんと垂れ下がる。すっかりディープキスの気持ちよさを知ってしまった花蓮は、積極的に遠山の舌を追いかけていく。舌先で上顎を擦られると、ゾクゾクするような快感に身体が震えた。

「ふあぁぁ……♡♡ んっ、遠山、っ……もっとぉ……♡」
「っ……」

 口内をかき乱す舌の動きが不意に速くなる。息が苦しくなって顔を背けようとすれば、頭を強く引き寄せられてしまい、逃げられない。

「んんんっ……!♡♡」

 可愛らしい舌を歯で挟まれた後、ぢゅぽぢゅぽ♡と扱くように前後へ口を動かされ、花蓮はびくんと腰を跳ねさせた。

「あ…え……っ♡♡ なに、し…て……ッ♡ んふぅぅっ……♡♡ あっ、う♡♡」

 初めての動きに戸惑ってしまい、座席越しにぐったりと遠山に凭れてしまう。口端からたらりと垂れる唾液。遠山は胸ポケットから白いハンカチを取り出すと、花蓮の口元を拭った。

「…ぁ……♡♡」
「お嬢様、次の予定のお時間が迫っておりますので……そろそろ戻りましょう」
「そ、そうね……」

 何だろう、股の間がむずむずと疼く。
 もっとしたくて、堪らなくて……でも、どうすればいいのだろうか。
 キスだけではどうにもならないことが身体に置き始めていることを、花蓮は自覚した。

 もろもろのレッスンや食事を終えて、ようやく花蓮は就寝時間を迎える。ゆったりとしたワンピース型の寝間着であるネグリジェ。今日はやけに胸元が開いていた。

「遠山……♡♡」

 とろんとふやけた瞳で無表情の執事を見つめれば、もはや言葉がなくとも意味が伝わるようで。
 遠山が小さくため息をつくと、花蓮の唇を性急に奪った。

「んむっ♡♡♡」

 この短い期間で数えきれないほどの口づけをしたせいか、唇を触れ合わせていた方がしっくりくる気がするほどだ。
 ほんの少しだけ湿った遠山の唇が甘い。ちゅうちゅうと執事の上唇を吸い上げれば、男の身体が揺れた。

「く……お嬢様、ずいぶん積極的になられましたね」
「そう、かしら……んっ♡♡ それより、早く……頂戴♡」
「……何をでしょうか」
「とぼけないでよ♡ その舌を入れなさい……♡♡」
「承知いたしました……っ」
「あんっ♡♡」

 立ったままの身体を抱き寄せられて、唇を覆うように舌をねじ込まれる。すぐに口内が甘く痺れてしまい、じんじんとお腹の奥が疼いていく。目頭が勝手に熱くなり、じわりと涙が滲む。遠山にしがみついたまま、身体の力が抜けていく。

「遠山……んうっ♡♡ はぁ……はぁ……♡♡ あむ……っ♡♡ あ、う……♡♡♡」
「お嬢、様……」
「っ……♡♡」

 掠れた声で名前を呼ばれ、ずくんと腰が重く痺れた。唇が重なった状態で、遠山の白い手がそっと背中をなぞり、そして、花蓮の乳房へ触れる。

「ん……♡♡ ちょ、遠山……そこ、はぁ……っ♡♡」

 ネグリジェの上から乳房を柔らかく揉みしだかれていく。誰にも触れられたことのない胸もとへ触れられ、拒否しないと駄目なはずなのに。
 出てくるのは意味をなさない言葉だけの抵抗だけだ。
 それが分かっているのか、遠山の手は止まることなく、花蓮の乳房を揉んでいた。

「あ、う……♡♡ んっ、く……♡♡ 遠山……や、め、っ――――ひっ!?♡♡♡」

 突然、遠山の手がネグリジェの肩紐を掴んだ。ずるりと白い紐がずれて、片方の乳房が外気に晒される。ぷるん♡♡とEカップの乳房が上下に揺れ、桜色の乳首さえも執事に見られてしまう。思わず花蓮は「いや……っ!♡」と声を絞り出すが、口先だけに過ぎない。ぷっくり♡と勃ち上がり始めた胸の突起が、それを物語っていた。

「遠山、なにを、っ……♡♡」
「……これは失礼いたしました。お嬢様が物欲しそうな顔をしていらっしゃったので、つい」
「つい、って、そんな…こと……っ♡」
「では続きは止めておいた方がよろしいですね」
「…ぇ……?♡」

 遠山はちらりと花蓮の顔を伺うと、唇をはみ出した乳首に寄せて、ふぅ♡と吐息を吹きかけた。

「あっ……!!♡♡♡」
「そろそろお嬢様の可愛らしい乳首へ触れるつもりでしたが……まだまだ準備ができていないようですので」
「は、ぁ?♡ 準備くらい、でき、て……んひぃぃっ!?♡♡♡」

 くちゅ……♡と乳首が遠山の口内へ含まれ、舌で舐め上げられてしまった。胸の先っぽから快感電流が走って、がくがくと足が震えてしまう。乳首を口に含んだままの上目遣いの遠山と目が合い、ひっ、と喉がきゅうと締まったような声が漏れる。

「お嬢様の準備ができているとのことですので、このまま触れさせて頂きますね」
「望む、ところよ……っ♡ んんっ♡♡」

 ちゅぱちゅぱ♡といやらしい水音を立てながら、遠山に乳首を舐められていく。キスとは異なる切ないような、甘くて蕩けるような刺激に、花蓮の頭がぼんやりと痺れてくる。乳房を支える遠山の手袋がひんやりと冷たかった。時折、乳肉の弾力を楽しむように舌先を見せつけられつつ、乳房を舐められると羞恥で顔が真っ赤に染まる。

「あ、んん……ふ、う……っ……♡♡♡ は、あ……っ♡♡」
「ああ、お嬢様。声を我慢する必要はございませんからね。この場には私しかおりません」
「が、我慢なんてしてないわ、よ……っ♡♡ あっ♡ 遠山のやり方の問題じゃないの……んっ♡♡」
「……そうでしたか。経験の少ないお嬢様のことを思って、遠慮しておりましたが……不要だったようですね」
「ひあっ……!?♡♡♡ あ、っ、え……?♡♡ 遠慮って、んんうっ♡♡」

 普段よりも低い声の遠山が、花蓮の身体を一層強く引き寄せた。
 まだかろうじて肩に引っ掛かっていたネグリジェの紐を下げられてしまい、ついに左右の乳房が執事から丸見えになってしまう。普段から丁寧に整えられた花蓮の絹肌が、一層、先端の桃色を際立てる。情けなく眉尻が下がり、弱弱しい雌の表情を晒してしまっていることに、花蓮自身は気が付いているのだろうか。
 片方の乳首を舌で舐められながら、もう片方の乳首を指でくにくにと弄られていく。

「ふぅぅ……っ♡♡ あ、っ♡ んん、遠山……っ……♡♡ も、う……♡ ひあ、っあ、っ……♡♡」
「心配しなくても大丈夫ですよ、お嬢様。本日はまだ終わるつもりがございませんので」
「っ、ぅ……♡♡」

 そんなつもりで言ったわけではないのに。
 このまま乳首を責められたら、どうなってしまうのだろう。
 花蓮は遠山の愛撫に身を任せながら、次第に何も考えられなくなっていった。

to be continued……